運動をして、栄養に気をつけて、睡眠をしっかりとる。健康寿命を延ばすためにやるべきことを考えると、どうしてもこの3つが中心になりがちです。私自身もそうでした。
しかし昭和医科大学のリカレントカレッジで学ぶ中で、もう一つ重要な要素があることを改めて認識しました。それが「人とのつながり」です。
このサイトを立ち上げた時から、5本柱の一つとして「人とのつながり」を入れていました。ただ正直なところ、運動や栄養と同じくらい重要だとは、最初は思っていませんでした。学べば学ぶほど、そしてPTA仲間との関係や地域の方々との関係、学生時代の同級生との関係など、自分自身の体験を振り返るほど、これは後回しにできないテーマだと確信するようになりました。
孤独は「喫煙」と同程度のリスクがある
2015年、アメリカのブリガム・ヤング大学のジュリアン・ホルト=ランスタッド教授らの研究チームが発表した研究があります。300万人以上のデータを分析したこの研究では、社会的孤立や孤独感が死亡リスクを約26〜29%高める可能性があると報告されています。
この数字は、1日15本の喫煙と同程度のリスクに相当するとされています。肥満よりも高いリスクだとも言われています。
「孤独は体に悪い」という感覚は多くの人が持っていると思います。しかしそれが喫煙と同程度のリスクだと聞くと、話の重さがまったく変わってきます。私はこのデータを初めて知ったとき、正直かなり驚きました。
WHOも「孤独」を公衆衛生上の問題と認定
2023年、WHO(世界保健機関)は孤独を「世界的な公衆衛生上の脅威」と位置づけ、対策のための委員会を設立しました。これは感染症や生活習慣病と並んで、孤独が世界規模で取り組むべき健康問題として認識されたということです。
日本でも2021年に「孤独・孤立対策担当大臣」が設置されました。これは日本社会において孤独・孤立が深刻な社会問題になっていることの表れだと思います。
なぜ孤独が体に悪いのか
孤独が健康に悪影響を与えるメカニズムについては、いくつかの説明がされています。
一つは慢性的なストレス反応です。人間はもともと集団で生きる生き物であり、孤立した状態は脳にとって「危険な状態」として認識されるとされています。その結果、ストレスホルモンであるコルチゾールが慢性的に分泌され、免疫機能の低下や炎症の増加につながる可能性があると言われています。
もう一つは行動面への影響です。孤独な状態では、運動習慣が乱れたり、食事が不規則になったり、睡眠の質が低下したりしやすいとされています。つまり孤独は、直接的な生理的影響だけでなく、生活習慣全体を乱す間接的な影響もあると考えられています。
また認知機能への影響も指摘されています。社会的なつながりが少ない人ほど、認知症の発症リスクが高まるという研究も複数あるようです。人と会話をしたり、一緒に何かをしたりすることが、脳への刺激として機能しているのかもしれません。
つながりの「質」も重要
ただし気をつけたいのは、人とのつながりは「数」だけが重要なわけではないという点です。ハーバード大学が75年以上にわたって行ってきた「成人発達研究」では、人間の幸福と健康に最も影響を与えるのは、人間関係の豊かさであることが示されています。特に重要なのは関係の「質」であり、表面的なつながりが多くても、深い信頼関係がなければ健康への好影響は限定的だとされています。
SNSのフォロワー数や知人の数ではなく、本当に信頼できる人が身近にいるかどうか。それが健康寿命に関わってくるということです。
50代からこそ、意識してつながりを作る
50代は、人とのつながりが変化しやすい時期でもあります。子どもが独立して家族構成が変わる。職場での役割が変わる。学生時代の友人とも疎遠になりやすい。気がつくと、家族と職場以外のつながりがほとんどなくなっていた、という方も少なくないと思います。
私の父や母の60代以降の人間関係を見ていても、職場での人間関係はほとんどなくなり、最後は学生時代の同級生や地元の友達、ゴルフや歌などの趣味の友達、そして地域の近所の方々との関係が中心となっていました。
もちろん、職場が同じで趣味も同じという場合は、強いつながりになると思います。ただそういう方はあまり多くなく、職場以外の人間関係を今から意識して作っていく必要を感じています。
幸いなことに、私自身はPTA時代の役員経験者の仲間たちと10年以上関係が続いていて、小中学校のイベントの手伝いを未だに行っていたり、地域の神社の神輿委員としての活動をしたり、中学の同級生と富士登山をしたり同窓会を頻繁に開いたりと、職場以外の人間関係を大切に継続することができています。
また、新たに昭和医科大学の短期講座に参加して筋トレや栄養学などの全く未知のことにチャレンジし、新たな人間関係を作りに行くという努力も意識的に続けています。
これらは50代の今の自分の健康寿命にすぐに何かをもたらすわけではありません。しかしいざ60代・70代になったあたりから、じわじわと効いてくる健康寿命を支える重要な習慣の一つだと、今は確信しています。
運動する。栄養に気をつける。睡眠を整える。これらでせっかく延ばした健康寿命も、人とのつながりが途絶えてしまえば、一気に短くなってしまうものだと思います。この4つが揃って初めて、健康寿命はその人の寿命に近づいていくのだと思います。
まとめ
孤独が健康に与えるリスクは、喫煙と同程度という研究データがあります。WHOが公衆衛生上の脅威と位置づけるほど、人とのつながりは健康にとって重要な要素です。
次回は、10年以上関係が続いている小学校のPTA時代からの仲間たちと参加しているドラゴンボート競走について書きたいと思います。人とのつながりが日々の生活にどんな影響を与えているかを正直に書きたいと思います。



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