フレイルとは何か?気づいたときには遅い、その前にできること

フレイルとは何か 健康寿命の基本

健康寿命と平均寿命の差が約10年あるという話を前回書きました。では、その10年の間に何が起きているのか。その答えの一つが「フレイル」です。

フレイルという言葉を聞いたことはありませんか?私は新聞やテレビなどで結構目にするようになりました。このフレイルとは具体的にどういう状態なのか、自分とは関係ない高齢者の話だと思っている方も多いかもしれません。もれなく私もそうでした。ところが調べてみると、50代から意識しておいたほうがよいテーマだと感じています。

フレイルとは何か

フレイル(Frailty)とは、日本語で「虚弱」を意味します。2014年に日本老年医学会が提唱した概念で、「加齢に伴う心身の機能低下によって、健康障害を起こしやすい状態」のことを指します。

簡単に言うと、健康な状態と介護が必要な状態の間にある「中間の状態」と考えるとわかりやすいと思います。つまりフレイルは、放置すれば要介護状態へと進行しますが、早期に気づいて対処すれば健康な状態にまだ戻ることができる状態だとされています。

この「健康な状態にまだ戻ることができる」という点が重要です。一度要介護にまでなってしまうと、そこから健康な状態に戻るのは大変難しいことのようです。よってフレイルの時点では、適切な対処によって健康な状態にまで改善できる状態なのです。

フレイルの診断基準

フレイルの診断には、世界的に広く使われているフリード(Fried)の基準があります。以下の5項目のうち3つ以上に該当するとフレイル、1〜2つ該当する場合はプレフレイル(フレイルの前段階)とされています。

一つ目は体重減少です。意図せず年間4〜5kg以上体重が減少している状態です。二つ目は疲労感で、何をするにもだるい、疲れやすいという感覚が続く状態です。三つ目は筋力低下で、握力が男性28kg未満、女性18kg未満が目安とされています。四つ目は歩行速度の低下で、通常歩行速度が毎秒0.8メートル以下(時速約2.9km以下)が一つの基準です。五つ目は身体活動量の低下で、週に一度も運動しない状態が続いていることです。

これらを見て「自分にはまだ関係ない」と思った方も多いと思います。私も今の自分には全く関係ないことだと思っていました。1時間で3キロも歩けなくなる自分の姿はまだまだ想像できません。ただ注意したいのは、数年前より歩行速度が若干ですが落ちていることです。数年前は1キロ10分20秒ぐらいで早歩きの散歩が普通に出来ていたのに、最近は気が付くと10分40秒から11分ぐらいのペースに気が付かないうちになっています。フレイルは60代・70代になってから突然始まるのではなく、50代から静かにその準備が始まっている事に気がつき少し怖くなりました。

フレイルが恐ろしい理由

フレイルの最も怖い点は、自覚症状がないまま進行することです。

「最近なんとなく疲れやすくなった」「少し歩くのが遅くなった気がする」「体重が少し減った」。こうした変化は、加齢による自然な変化として見過ごされがちです。ところがこれらがフレイルの初期サインである可能性があります。

厚生労働省の調査によると、65歳以上の日本人のうち約10〜20%がフレイルの状態にあり、さらに約50%がプレフレイルの状態にあると推計されています。つまり65歳以上の約半数以上が、すでにフレイルまたはその予備軍にある可能性があるということです。

また、フレイルの状態にある人は、そうでない人と比べて要介護状態になるリスクが約2〜3倍、死亡リスクも有意に高いという研究データがあります。

フレイルには3つの側面がある

フレイルは身体的な問題だけではありません。現在では以下の3つの側面から総合的に捉えることが重要だとされています。

身体的フレイルは筋力低下・歩行速度の低下・疲労感など、体の機能が低下した状態です。精神・心理的フレイルはうつ状態や認知機能の低下、意欲の低下などが含まれます。社会的フレイルは一人暮らしや外出頻度の低下、人との交流の減少などが該当します。

特に社会的フレイルは見落とされがちですが、人とのつながりが減ることで身体的・精神的なフレイルが加速するという悪循環が起きやすいとされています。これはまさに、このサイトで「人とのつながり」を健康寿命の5本柱の一つとして位置づけている理由と重なります。

フレイルは50代から予防できる

フレイルの予防に最も効果的とされているのは、筋力トレを中心とした運動習慣です。特に下半身の筋力維持が重要で、スクワットやウォーキングが基本として推奨されています。

次に重要なのがたんぱく質を中心とした栄養管理です。筋肉の材料となるたんぱく質が不足すると、運動をしていても筋肉量が維持できません。高齢になるほどたんぱく質の吸収効率が下がるため、意識的に摂取量を増やす必要があるとされています。

そして社会参加です。地域の活動や趣味のサークル、ボランティアなど、人と関わる機会を意識的に持ち続けることが、社会的フレイルの予防につながります。

私自身、月水金の筋トレ、火木土のランニング、週1回のゴルフ練習という運動習慣に加えて、たんぱく質を意識した食事、そしてPTA仲間とのイベント活動・神社での活動・大学の講義への参加など、気がつくとフレイル予防につながることをやっていたのだと、このテーマを学んで改めて感じています。

プレフレイルの段階で気づくために

フレイルの予防で最も重要なのは、プレフレイルの段階で気づくことです。しかし先ほど書いたように、この段階では自覚症状がほとんどありません。

だからこそ、定期的な健康診断に加えて、自分の体の変化を日常的に記録しておくことが有効だと思っています。体重・筋量・歩行速度・活動量・睡眠の質。こうしたデータを継続的に記録することで、緩やかな変化に気づきやすくなります。

私がGarminを使って日々のランニングデータだけでなく、毎日の睡眠スコア・安静時心拍などを記録し、朝タニタの体重計で体重や筋肉量を確認するのも、こうした変化をできるだけ早く察知したいという気持ちがあります。今だけの数値を追うのではなく、長期的な推移を見ていくことが大切だと思っています。

まとめ

フレイルは健康な状態と要介護状態の間にある「虚弱」な状態です。自覚症状がないまま進行するのが最大の特徴ですが、早期に気づいて対処すれば健康な状態に戻ることができます。GarminやAppleWatchでの計測、そこまでできなくても、せめてタニタの体重計を用意して日々の自分の肉体を測定することは、将来の自分のためにも、大変役に立つことだと私は思っています。

65歳以上の約半数以上がフレイルまたはその予備軍にあるというデータを見ると、これは決して他人事ではありません。50代の今から、運動・栄養・社会参加を意識した生活習慣を積み上げておくことが、将来のフレイル予防につながると私は考えています。そしてそれはおのずと健康寿命を延ばす事につながるのだと思います。

気づいたときには遅い、ではなく、気づいた今から始める。それがこのサイトで私がお伝えしたいことです。

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