健康寿命を延ばすことを考えるとき、どうしても避けて通れないテーマの一つが腰と脚の問題です。年齢を重ねるにつれて「腰が痛い」「脚がしびれる」「少し歩くと休まないといけない」という症状を訴える方が増えてきます。その背景にある原因として非常に多いのが、脊柱管狭窄症です。
私の母も10年以上前から脊柱管狭窄症には悩まされており、日々のストレッチと運動でなんとかゴルフができる状態を保っているようです。また昭和医科大学で健康寿命について教えてくださっている75歳を超えるボディービルダーの先生も、60歳のころになったとのことでした。これだけ鍛えている方でもなってしまう、大変身近な病気であることを感じています。ただ治らない訳でもなく、また治らないまでも症状を抑えながら長生きしている人も大勢いるようです。今回はこの病気について、予防と対策という観点からまとめてみたいと思います。
脊柱管狭窄症とはどういうものか
脊柱管とは、背骨の中を通る神経の通り道のことです。この通り道が何らかの原因で狭くなり、中を通る神経が圧迫されることで様々な症状が現れる状態を脊柱管狭窄症と言います。
主な症状は腰痛、脚のしびれや痛み、そして間欠性跛行と呼ばれる「少し歩くと脚が痛くなって休まざるを得ないが、前かがみになって休むと楽になりまた歩ける」という特徴的な症状です。前かがみになると脊柱管が少し広がって神経への圧迫が緩まるため、楽になるのだと考えられています。
原因の多くは加齢による変化です。椎間板の変性、骨や靭帯の肥厚、椎骨のずれなどが組み合わさって脊柱管が狭くなっていきます。そのため40代後半から徐々に増え始め、60代以降に急増する傾向があるようです。
日本にどれくらいいるのか
脊柱管狭窄症の患者数は日本に約300万人いると推計されています。さらに潜在的な予備軍を含めると、その数はさらに多くなるとも言われています。腰痛を抱える日本人は約3000万人と言われていますが、その中でも脊柱管狭窄症は特に深刻な症状をもたらすケースが多いようです。
健康寿命という観点から見たとき、この病気が厄介なのは「歩けなくなる」リスクを高める点です。歩行能力の低下はフレイル(虚弱)の入り口にもなりますし、外出が減ることで人とのつながりも薄れていきます。運動・栄養・睡眠・心の健康、すべてに悪影響が波及していくのです。
50代から取り組める予防法
脊柱管狭窄症は加齢が主な原因ですので、完全に防ぐことは難しいかもしれません。ただ50代のうちから取り組むことで、発症を遅らせたり症状を軽くしたりすることはできると感じています。
まず体幹と背筋を鍛えることが重要とのことです。体幹の筋肉が背骨を支えることで、椎間板や骨への負担を軽減できるようです。プランクやヒップリフト、スクワットといった種目は脊柱管狭窄症の予防という観点からも理にかなっていると感じています。私が現在行っている筋トレメニューにこれらを含んでいるのは、まさにそういう意味があります。
次に柔軟性を維持することです。特にハムストリングス(太ももの裏側)と腸腰筋(股関節の奥にある筋肉)の柔軟性が重要だと言われています。これらが硬くなると骨盤が後傾し、腰椎への負担が増すためです。毎日のストレッチを習慣にすることが予防につながるようです。
昭和医科大学の先生は仰向けに寝ながら腰の下にレンガのような物を置いて浮かせ、カエルのように足を開いたり閉じたりして自力で治したとおっしゃっていました。もちろんご自身にしっかりとした医学知識があるから出来たことだとは思います。本当に感心してしまいます。
また体重管理も見逃せません。体重が増えるほど背骨への負担が増します。適正体重を維持することが、腰への負担を減らすうえで非常に効果的だと考えられています。
そして姿勢の改善も重要です。長時間のデスクワークやスマートフォンの使用による前傾姿勢は、腰椎への負担を大きく増加させます。座り方や立ち方を意識するだけでも、日々の負担はかなり変わってくるようです。
脊柱管狭窄症になってしまったら
もし腰痛や脚のしびれが続くようであれば、まず整形外科を受診することが大切です。MRI検査によって脊柱管の狭窄の程度を確認することができます。自己判断で放置すると症状が進行するリスクがありますので、早めの受診をおすすめします。
治療の選択肢としては、まず保存療法が基本となることが多いようです。薬物療法、神経ブロック注射、リハビリテーションなどがあります。保存療法で改善が見られない場合や日常生活に大きな支障をきたす場合には、手術が検討されることもあるようです。
また保存療法の一環として、水中ウォーキングや自転車(エアロバイク)などの体に負担をかけにくい有酸素運動が勧められることが多いようです。これらは前かがみの姿勢になりやすいため、脊柱管が広がった状態で運動できるという利点があるとのことです。
一方で、症状が出ているときに無理なランニングや重い荷物を持つことは避けたほうが良いと考えられています。自分の体の状態をよく観察しながら、無理のない範囲で体を動かし続けることが大切だと感じています。
まとめ
脊柱管狭窄症は、健康寿命を大きく左右する病気の一つだと改めて感じています。50代のうちから体幹を鍛え、柔軟性を維持し、体重を管理することが、将来の自分の足を守ることにつながるのだと思っています。90歳でも自分の足で歩ける体を目指すうえで、この病気を知っておくことは非常に重要だと感じています。
なお本記事は医療情報の提供を目的としたものであり、診断や治療を推奨するものではありません。症状がある場合は必ず医療機関を受診してください。



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