先日、昭和医科大学リカレントカレッジの講義で、メインの先生とは別の先生が教えてくださる授業がありました。テーマは「認知症の予防、認知症からの回復」でした。担当の先生はこれまた60歳以上と思われますが、明らかにボディービルをされているような体格の方です。
余談ですが、本格的に筋トレをしていると若々しくいられるのでしょうか。マラソン大会で見かける長距離ランナーの方々と比べても、筋トレやボディービルをされている方は顔のツヤも含めて明らかに若く見えると感じます。ランナーの方も姿勢や佇まいは若々しいのですが、顔が若く見えない方が多い印象があります。これは私個人の感想ですが、毎回興味深いと感じます。
話がそれましたが、今回のテーマは認知症でした。50代や60代ではまだまだ他人事のように思う方も多いと思います。私も今のところ自分が認知症になるかもしれないという危機感は全く持っていません。しかしながら今回の先生は、「こういう状態になれば絶対に認知症にはなりません」という非常に自信のある様子でお話しされていましたので、その内容を少しシェアさせてください。
先生は数冊の書籍を出版されており、授業後に私たち生徒に2冊の本をプレゼントしてくださいました。
話が早くて板書が間に合わないほどの授業でしたので、詳しく知りたい方はぜひ書籍をお読みいただければと思います。特に先生の指導を受けた方の体験談は驚くような内容で、若年性アルツハイマーと診断された方が回復したり、アルツハイマー型認知症と診断された方が認知機能検査をクリアするまでに改善したりという事例が紹介されていました。
〇〇な人は認知症にならない
講義はこんな問いかけから始まりました。「〇〇な人は認知症にならない。この〇〇には何が入るでしょうか?」
私は定期的に運動している人、話し好きの人、睡眠をしっかりとっている人などを思い浮かべました。
答えは「感覚神経がつながっている人」とのことでした。正直、もっとわかりやすい答えを期待していたので、最初は少々がっかりするとともに、よく意味がわかりませんでした。
簡単に言うと、「今この筋肉が動いている」ということがしっかり脳に伝わっているかどうか、ということのようです。
感覚神経が鈍いとどうなるのか
感覚神経が鈍かったり、つながっていない人は、いずれ認知症になりやすいとのことでした。感覚神経は12歳までに出来上がるらしいのですが、それまでにあまり体を動かさなかったりすると身につけることができないようです。また感覚神経があった人でも、長期間体を動かさないでいるうちにどんどん鈍くなっていくようです。
感覚神経が鈍いと、疲れ、痛み、暑さ、寒さをあまり感じなくなるようです。軽度認知障害(MCI)の方と先生が筋トレをすると、1時間やっても2時間やっても「疲れた」と言わないそうです。
先日ニュースで、70代の女性が温泉宿から夜中に抜け出し行方不明になったと報じられていました。防犯カメラの映像では、夜中にしっかりとした足取りでスタスタと歩き回っている姿が映っていました。過去の事例では82歳のMCIの女性が700キロ以上先で見つかったということもあるそうです。体中傷だらけだったとのことですが、まさに痛みも疲れも感じない、感覚神経が脳とつながらなくなってしまっている状態だということです。
高齢で健脚な男性が「1日中山登りをしても全く疲れないんだよ」などと言っている、いかにも健康で元気そうな人が一気に認知症になるのも、このような理由からだというのです。これには正直驚かされました。
ボリビアの先住民に認知症がほとんどいない理由
日本人の場合、5人に1人は生まれながらに感覚神経が鈍い人がいるとのことで、先進国ほどその割合が高くなるようです。一方、南米ボリビアの先住民(文明の力を使わず自給自足の生活をしている)の調査によると、認知症になっている人はわずか0.6%とのことでした。生まれながらに全身を使って生活をし続けている人々は感覚神経も鋭く、認知症になることがほとんどないのだろうというのが先生の見解でした。
では、どうすれば良いのか
ここからが先生のおっしゃりたいことの核心だと思います。実際の授業でも30分以上、先生がすすめるやり方での筋トレを実践しながら教えてくださいました。こちらの内容は書籍にも掲載されています。
細かい筋トレのやり方は書籍に譲るとして、ここでは私が理解したポイントだけお伝えします。要は、脳と筋肉の間の感覚神経をつなぎ直す、もしくは新たにつなぐということです。
筋トレをされている方はご存知だと思いますが、今鍛えている筋肉への刺激をしっかり集中して感じながら運動を行うと、筋肥大の効果が上がるとよく言われています。先生がおっしゃっている認知症の予防や改善につながる方法とは、ある程度負荷の高い運動をしながら使っている筋肉を意識するということです。「太ももの筋肉が疲れてきたな」「ふくらはぎが痛くなってきたな」というようなことを感じながら運動を続けるのです。
MCIの人は痛みも疲れも本当に感じないらしいのですが、そのような状態でもこれを意識しながら続けていくと、3〜4ヶ月経った頃からだんだん痛みや疲れを感じるようになってくるそうです。これが、新たな脳の領域と筋肉が感覚神経でつながったということのようです。一度こうなれば、ただ歩くような運動でも筋肉が動いている感覚が脳に伝わるようになり、意識しなくてもどんどん認知機能が改善していくとのことです。
この話を聞いてから、私の運動が変わった
私はこれを聞いてから、音楽を聴きながら走ることをやめました。今はしっかり足が着地している感覚を感じたり、腕を振っている感覚を意識しながら走っています。筋トレも同様に、今動いている筋肉をしっかり意識しながら行うようにしています。
実際の授業では、感覚神経が今どんな状態かを調べる簡単なテストも実施しました。詳しい方法は書籍に書いてあります。幸いなことに私は健常者の点数ではありましたが、教室にはMCIが疑われるような点数の方も見受けられました。若い方でも認知症予備軍の方は結構いるのかもしれません。
昭和医科大学のリカレントカレッジ、本当に受講してよかったと思っています。毎回、自分が思っていた常識を覆すようなことを教えていただいています。せっかくの土曜日に片道1時間以上かけてと周りからは呆れられることもありますが、快く送り出してくれる家族には本当に感謝しています。


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